こども記者調査ファイル
元刑事が語る! 謎に包まれた探偵業の裏側!!

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皆さんは探偵と言えばどんなイメージをされますか?おそらく名探偵コナンやシャーロックホームズなど、漫画や小説を思い浮かべる人が多いと思います。僕も探偵について調べる前は、探偵はシャーロックホームズのような服装をしていて、鋭い観察力と推理で事件をあっさり解決!みたいなものを想像していました。しかし調べていくと浮気調査や人探しなど、観察力や推理などとはあまり関係がないような仕事ではないかとう疑問が浮かびました。そこで本当にコナンのような推理や行動は必要ないのか。様々な難事件に巻き込まれるのは漫画や小説の中だけなのか。そんな疑問を解決するために「総合探偵社 ガルエージェンシー」の福林さんに探偵はどんな仕事をしているのかを取材をしました。

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自己紹介

福林 英哉 1958年生まれ 60歳(取材当時)

元奈良県警察本部で刑事。40歳の時にガルエージェンシーに転職。奈良にある3店舗を統括しながら大阪本部では依頼者からの相談を受けたりといったマネージメントを行う。

総合探偵社 ガルエージェンシー公式サイト http://www.galu.co.jp/

総合探偵社 ガルエージェンシー奈良中央公式サイト http://www.galu-nara.net/

 

ユータ :どんな依頼がありますか。

福林:みなさん(こども記者)に関わるようなことだったら、家出調査です。例えば16歳の子が春休み前に家出をして探していたら東京の品川で見つけて、こっち(大阪)に連れ戻してきたなんてこともありました。

 

ユータ :ちなみに依頼のTOP3は

1位 浮気調査

2位 信用調査(例えば結婚相手の身辺調査など)

3位 人探し

だそうです。

 

ユータ :どんな方法で調査を進めていくのですか。

福林:調査はまずは情報!情報を集めて裏づけをしていき証明する。犯人だという証拠を示すには情報を組み立てていかなければならない。例えばユータ(記者)君に彼女がいて、その彼女がユータ君には他に彼女がいると疑っていても証拠はないじゃないですか。だから尾行して他の女の子と会っていないか確認する。会っているようだったら、二人でいるところを写真やビデオに撮って証拠として残す。証拠は見たり聞いたりではなく映像で動かぬ証拠として残します。

 

ユータ :調査費用はいくらぐらいですか。

福林:1時間ごとの値段×調査時間のタイムチャージと最初に着手金をもらって後で成功報酬という2種類の料金体系があります。

 

ユータ :探偵に必要な素質やスキルはどんなものが必要ですか。

福林:体力、そして折れない気持ち。この2つが重要な資質になります。後、体つきは中肉中背、そして陰が薄いというかあまり目立たない人がいいですね。あまりに背が高い人やかなり太っている人は、目立ちすぎて尾行には連れていけないです(笑)

後は、度胸。尾行したり、張り込んでいるだけではなく、対象者を撮らなければならない。人にカメラを向けるっていうのは相当勇気がいることで、もろにカメラを向けるとバレてしまうので、いかに相手にバレずに撮るか。人それぞれいろんな方法をあみ出しています。

 

ユータ:調査がないときはどんなことをしていますか。

福林:調査がないときは休んでいます。休みは散髪に行く調査員が多いかな。休みの時でないと行けないし。後は、寝ている人が多いかな(笑)

私の場合は、美味しいものを食べたりお酒を飲んだりしてリフレッシュしています(笑)

 

ユータ:調査中に依頼内容が違法だとわかったら調査を中止するんですか。

福林:即座に中止します。

調査中よりも依頼の段階で違法性のあるものは大体わかります。依頼内容がなんか怪しいなと思ったらどんどん質問をしていくと、もし嘘をついていたりしたらつじつまが合わなかったりするのでバレます。だから調査中に違法だとなることはほとんどないですね。

そして契約書には、「社会的差別に利用することや、ストーカー行為目的、配偶者からの暴力被害者の保護、盗聴・盗撮行為目的、反社会的行動及び反社会的勢力への関与、公序良俗に反し各種法令に抵触する可能性がある場合」これらに触れている時はすぐに調査を中止しますって書かれています。

 

ユータ:昔と今では探偵の仕事に変化はあったのでしょうか

福林:一番に大きく変わったのは機材。昔は望遠のついた一眼レフのカメラが主流だったんです。なぜかというと当時のビデオカメラは大きくて、電池も長持ちしないので予備の電池をいっぱい持っていかなければならなかったので重たくてとても不便。ただ、大阪のとある探偵事務所の70代の人は今でもこだわりでビデオを使わず、一眼レフを使っています。見事な写真を撮られます。

今は軽量で小さいホームビデオが出ているのでそれを使っています。

昔の人はこんな便利な機材がなくても証拠写真を撮っていたので技術はかなり上でしたね。

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▲壁などに貼り付けるタイプの隠しカメラ。引っ張っても中々取れません。

 

ユータ:今は調査中でもスマホなどでチーム内での連絡を取れるが昔はどうしていたのですか。

福林:昔はトランシーバーで使ったりしたけど、基本的には現場では連絡を取り合ったりしません。チームで尾行していたとして、誰がどう動くか以心伝心で、落ちる(対象から離れる)時や対象者に近づきすぎた時に目くばせで尾行を交代したりするように日頃から訓練しています。

 

ユータ:仰天エピソードや面白エピソードがあれば教えて下さい。

福林:いっぱいあるけど、言えるネタが・・・(苦笑)

ある人を調べていて接触した相手が芸能人だったということはありましたね。

 

ユータ:有名人からの依頼はあるんですか。

福林:芸能関係と政治関係はありますね。大阪にある某○○興業とか(笑)

娘さんの交際相手の事を調べたり、誹謗中傷の相手は誰なのかを調べたりとかが多いですね。

 

ユータ:ドラマみたいな事件にかかわったことがありますか。

福林:殺人事件にかかわった事があります。

奈良市内の有名クラブのホステスさんが仕事帰りに刺殺された事件です。事件を聞いた時には犯人の目星がついたんです。というのは、この店に出入りしていた男性客の元愛人が男性と別れる時に刺したことがあるような女で、警察は警察で捜査していたけど、お店の人にヒアリングとかしておそらくこの女性だろうと思い、ある新聞社と協力して調査をしていってすぐに居場所を突き止めたんです(大和郡山市にいた!)。で、京都府警の知り合いに電話して(事件が起こったのは木津川市内なので管轄が京都府になる)

福林さん:「犯人はこの女やで」

京都府警:「それはこちらでも把握してました」「今、所在を探してるところなんです」

福林さん:「そうかぁ」「今、目の前におるで」

京都府警:「え!?」「すぐ行きます」

で警察が到着したら我々は引く、ただ一緒にいた新聞記者は逮捕現場の写真を撮りに行ったけど。

 

ユータ:この場合、調査の依頼は誰になるんですか。

福林:依頼者はなしです。話を聞いてピンと来たので動いただけなんです。まぁ社会貢献みたいなもんです。

 

ユータ:潜入捜査をしたことはありますか。

福林:私は出来ないけれども潜入専門の調査員はいます。

 

ユータ:それは清掃員に変装したりとかですか。

福林:いいえ。そこの会社の社員として働きます。だから一度潜入したら2・3ヶ月は帰ってこないという事もあります。

 

ユータ:探偵になろうと思ったきっかけは。

福林:私の場合は特殊かもしれないけど、警察官の時に困っている人に対して横柄に対応する者がいることに疑問を持っていました。本当に困っている人の問題を解決するだけでなく、心のケアをしながら対応してあげたい、そんな思いで探偵になりました。

それと探偵をすると儲かるよ(笑)

 

ユータ:探偵になる前となってからではイメージの変化はありましたか。

福林:自分自身はなかったけど、周りはあったかな。家族とか。刑事やめて探偵になるって言ったら「なんでやめるん」「このまま定年までいってよ」はあったよ。最初は地べたを這うような生活をしていたけど、やっているうちに人の為になるという事と、一つの事件を解決した時の喜びや感謝される事、それなりの報酬をもらうってなったら周りも探偵になってよかったねって言ってくれるようになりました。まぁ、結果論ですけどね。

 

ユータ:人の裏側を見ていて人間不信になったりしないんですか。

福林:私はどちらかというと性善説といって人はすべて悪いとこばかりじゃないよっていうのが私の見方なんです。悪いことをした人だけどいい所もきっとあるはず、きっと悩みや理由があるはずと思うので、人の裏側を見ることによって嫌になったりすることはないですね。

学校でも悪いことをする奴や嫌な奴がいて、そいつとは口をきかないようにしようとか、距離を取ろうとしないで、なんでそんなことをするんやろう?家で嫌なことはあったのかな、もしかしたら虐待を受けているかもしれない、何か理由があるはずという考えで話を聞いてあげるようにしてあげれば、きっと何かの手助けになるかもしれないですよ。

 

ユータ:やましいことをしている人の行動パターンはありますか。

福林:特に決まったパターンはないですね。逆に探偵は先入観をもったらダメなんです。例えば奥さんからの情報で今日はスポーツジムに行くって聞いて張り込んでいたら来ないとかあるので、すべての先入観を排除して調査します。駅の方に向かっているからといって電車に乗るとは限らない。途中で車に乗るかもしれないし、どこかのビルに入るかもしれない。先入観をもって調査をしていたらとっさの事にも対応できなくなる。“先入観を持たない”探偵にとっては大事なことです。

ユータ 探偵記事 ①

▲探偵という仕事を詳しく教えてくれます。

 

ユータ:尾行や張り込みに気づかれた時ってすぐにわかるものなのですか。

福林:わかります。これは探偵の危機管理上一番大切なことで、相手が気づいているのに尾行を続けたら軽犯罪法違反で付きまとい行為になるんです。だから相手が振り向いたり、警戒しているなと感じたら尾行している人間が引いたり、人が入れ替わったりします。それでもダメそうなら中止します。

 

ユータ:尾行をしている時、相手が気付いてるなって感じる行動はありますか。

福林:まず後ろを振り向く。普段道を歩いていて看板をみたりしてキョロキョロすることはあっても何度も後ろを振り向くってことはないでしょ。

それと、例えば左に曲がって又すぐに左に曲がる。方向でいったら戻ってきてることになるから、気付かれている可能性があるので尾行を中止したりすることもあります。

ただ最近は尾行はやりやすくなった。それは、特に若い人は携帯に夢中で周りをあまり気にしていないのでほぼ気づかれないです。ただ、ゲームをしていて急に一定の場所から動かなくなるのは、ちょっとやりにいかも(笑)

 

ユータ:尾行していて相手が急に戻ってきてすれ違うなんて場面もあると思いますがその時はどうするんですか。

福林:探偵として一番避けなければならないのはすれ違いなんです。人間って3秒見たら大体覚えるんです。だから、手前で曲がれるなら曲がってすれ違いを避ける。絶対にすれ違わないようにします。Uターンなんて想定外だから、そこは臨機応変に対応していきます。

 

ユータ:対象者が不意な行動をとった時などの対応する力はどうやって身につきますか。

福林:相手が急にタクシーに乗ったら、こちらもすぐにタクシーがつかまれば「前のタクシーを追ってくれ」って言いますね。ただ、田舎のほうまで尾行してそこで相手は迎えの車が来ていてタクシーがないってなると、その車のナンバーを控えておいて後は応援を頼むってことになります。

 

ユータ:探偵から見て、張り込みや尾行している人って一目でわかりますか。

福林:わかります。

例えば今居てるこのビルを出た時に張り込みならここに居るだろうと予想できる。そこに居た人が次の所でも居たら間違いなく尾行されているよね。

 

ユータ:違う人を張り込んでいたり尾行している探偵って一目でわかりますか。

福林:私はわかります。

尾行していたら対象者と歩調をあわせるから、ゆっくり歩いたり急に走り出したりする。さらに良く見たらカメラを持っているので一発でわかります。

あと大体の探偵は大きめの鞄を斜め掛けしていてその中にカメラを仕込んでいる。鞄の中に手を入れてても不自然に見えない高さで撮影している。私から見たらバレバレですけどね(笑)

 

ユータ:何年・何案件ぐらいこなせれば一人前になるでしょうか。

福林:その人にもよるけど我社ではエージェントになるには3ヶ月間の研修期間を設定していますが、ほぼ毎日のように仕事があるので、早ければ2ヶ月で一人前になったりしますね。

 

ユータ:どれだけ経験を積んでも読めないっていうヒトはどんなヒトですか。

福林:調査しやすい、しにくいで言ったら、サラリーマンや公務員はある程度勤務時間が決まっていたりするからやりやすいけど、社長や自営業の方はいつ出かけたりするかわからないので読みにくいですね。

 

ユータ:いい探偵事務所、悪い探偵事務所の見分けかたってあるんですか。

福林:いい探偵事務所は、まずちゃんと事務所を構えています。喫茶店やカラオケボックスで説明や契約をしようとするところはお勧めできません。あとちゃんとした契約書があるというのも一つの目安にはなります。用紙が1枚や2枚程度の契約書の所も怪しいです。

また探偵業を始めるには公安委員会に届け出をして許可書をもらっているので、許可書がちゃんと事務所に掲示してあるかどうか。届出はされているかは警察に聞いても教えてくれます。でも、届出はしているけど事務所がないようなところもあるので注意が必要です。

 

ユータ:最後に探偵にあこがれている子供たちに何か一言。

福林:今はいろんな経験を積んでいったらいいんだけど、人が使える時間って決まっているのでいろんな経験を積めないじゃないですか。そこで私がおススメするのがいろんなジャンルの本を読むこと。ただ読むだけでなく自分が主人公になったつもりで読む。自分ならどうしただろうと考えながら読む。考え方だけでもいろんな経験ができるよ。

また、警察は刑事事件や犯罪からは守ってくれます。探偵はそれ以外の所であったり、事件や犯罪を未然に防ぐ事ができるんです。そしてなにより苦しんでいる人悩んでいる人を助ける事もできます。警察では助けられない人を助けることができる仕事。しんどいけどやりがいはあると思います。(こども記者に)高校出たらおいでや(笑)

ユータ 探偵記事 ②▲盗聴器発見の体験もさせてもらいました。意外とすんなり見つけることができ、とてもいい経験となりました。

※体験記事はレッド記者の「子供探偵三条!!尾行も盗聴もやっちゃうぞ」をご覧ください。

 

取材を終えて

シャーロックホームズのような服装をイメージしていましたが、スタイリッシュな体型よりも中肉中背のどこにでもいるような人が探偵に向いていることがわかりました。また、頭の中で推理して犯罪を暴くのではなく、対象者の写真を撮る瞬間の勇気や、とっさの判断に対応できる応用力や行動力、そして相手の行動に対して先入観を持たないことが大切だということがわかりました。思っていた探偵のイメージとは違いました。またコナンのような難事件を解決はすることはないとは思っていましたが、実際に殺人事件に関わって解決!と名探偵ぶりも発揮していました。

DVやストーカーなど様々な悩みを持った人が多くいます。しかし犯罪に繋がっていなかったり証拠がなかったりで、警察は事件にならないと相手にしてくれませんが、探偵なら事件が起こる前から動いてくれてその悩みを解決してくれます。警察とは違った方法で人助けをしている探偵を自分はかっこいいと思いました。が、休みが少なそうだし、張り込みとかじっとしているのは苦手なので働くのは無理かな(笑)

探偵はみなさんに身近にいていつでも味方になってくれます。たまに敵になることもあるので身の回りには注意して下さい(笑)